モンテッソーリ教育
2006年 09月 30日
うちの長女が通うPre Schoolはモンテッソーリ教育を取り入れています。もう少し深くこのモンテッソーリ教育の関して知ろうと思い調べてみました。
下記の文章はアメリカで暮らす日本人主婦が2人で始めたサイトからのものです。
モンテッソーリは、このように子どもを正常化させる活動の過程を「活動の周期」と呼びました。それは「自由に選ぶ→繰り返す→集中する→充実感や達成感をもって終わる。」という4つのステップです。「この四つのステップを踏みしめたとき子どもは内面から変わり、善さを現し、自立していきます。」(幼児期には2度チャンスがある」(相良敦子著、講談社)
モンテッソーリはその様子を次のように述べています。「専心のうちに行った仕事を終えたあとの幼な児たちは、いつも真の安息感を得、また内面的には強められた人のように見えます。かれらの性格のより良い面をあらわしますので、心の中に秘められた実力発揮への道が開かれたのではないかと思わせられます。なぜならこのようなことがあったあと、きまってみんなに対してとても親切になり、喜んで他人を助け、また良い子でありたいという願いで一杯になるからです。このような男の子の1人が静かに先生に近づき、自分の大切な秘密を打ち明けるかのように『先生、ぼくいい子でしょう!』と耳元にささやく情景も見られました。」(『幼児と家庭』鷹角達衛訳、エンデルレ書店)
モンテッソーリをご存じない方は(とっても長い文章なので興味のある方に)
モンテッソーリの教材
子どもは"Sensitive Periods"「感覚期」という時期があります。なんでも口に入れる、観察する、触ってみる、出してみる、開けてみる、入れてみる、たたいてみる・・・幼児期の子どもと過ごしたことのある人なら誰でも目撃する、大人にとっては、「ちょっと困った」行為です。でも、こういった行為は子どもの内側からの抗し難い生命エネルギーから行われるもので、このエネルギーがあるからこそ子どもは、他の人生のどの時期よりも0歳~6歳にかけて飛躍的な成長を遂げるのです。だから、こんな大人にはいたずらとしか思えない行為をしはじめたら、「この子は今、内なる生命エネルギーに動かされて学習しはじめたんだ。」というまなざしで見つめてあげてください。(危険なことをしてたら、もちろん別ですが、子どもが多少のいたずらをしても危険でない環境を用意してあげることも大切です。)こうした大人にはちょっと困った行為を通して、子どもは自らの環境を探索し経験し、認知能力の発達ばかりでなく社会適応力をつけ、精神的にも安定していきます。
モンテッソーリ教材は、この感覚期の好奇心を刺激し、満たし、達成感を与えるために考案されたものです。
(例えば、息子達がそれぞれ2歳位の頃、ティッシュの箱から一枚一枚全部ティッシュを引き出してしまったことが何度かありました。引っ張り出している時の楽しそうな顔!あんまり楽しそうなので、よくやらせてました。その時は、気づかなかったのですが、その頃が子どもの第一感覚期だったのだと思います。何度も繰り返す行為、完了した時の子どもの充実した様子、まさに上記の「活動の周期」の通りです。こんなことも、こどもの成長には欠かせないことなのでしょう。どんな高価なオモチャよりも一箱のティッシュの箱で済むなら安いもんです。)
実生活教材(Practical Life)
“The hand is the instrument of the mind.”(Dr. Maria Montessori)
「手は心の道具です。」
ねじを回す。布切れにボタンを縫い付ける。ニンジンを切る。掃除するetc....
子ども達は実際に自分で参加できるときに、より集中力を示し、やる気を起こし、心の平穏を得、満足感にひたり、結果的により早く学びます。心と体を同時に刺激することにより、子ども達は疲れるどころか、すがすがしい気持ちになるのです。
息子の通うモンテッソーリにはobservation day という日があります。それは全員のお母さんが教室の後ろに立って見る授業参観ではなく、1人1人の親が30分の時間が与えられ、教室の隅の椅子に目立たないように腰掛けて、子ども達の集中力を妨げないように、子ども達の様子を静かに観察します。
その日、息子は「にんじんを切る」という仕事をしていました。『洗面器に水をくむ、机に運ぶ、ニンジンを取り出す、洗う、皮むき器で皮をむく、まな板の上でサイコロ大に切る、皿に乗せる』という一連の作業を非常に集中して行っていました。そして感動したのは、その皿に乗せたニンジンを他の作業をしているクラスの子達に“Excuse me. Do you want to eat carrot?”と声をかけながら欲しい子に配り、他の子ども達と“Thank you.”とか“No Thank you.”というやり取りが繰り返されます。ニンジンを配っている息子は、非常に誇らしげでもあり、楽しそうでした。
つまむ、ひねる、通す、折る、貼る、縫うなど指先の使いこなすことを学ぶのは4歳前後で、この時期にそのような環境がないと学童期に緻密な作業が苦手になってしまいます。
不思議なことに、子どもには自らこのような作業をしたい!と思う時期があります。(これが内面の力、自発的生命エネルギーです。)二人の息子の場合も夕飯の仕度をしていると「ママ、お手伝いさせて。」と言ってキッチンに入って来る時期がありました。そんな時、つい「忙しいからあっちで遊んでて。」とか「それより、そこのオモチャ片付けてちょうだい。」なんて言ってしまいがちですが、ぐっとこらえて笑顔でニンジンやジャガイモの皮むきなどをやらせましょう。それが既に家庭でもできるモンテッソーリ教育です。
高価な知育おもちゃを買ったり、時間を割いて知育教室に通うよりも、よっぽど子どもの発達に役立ちます。残念なことに、こういう「やらせて」とという時期は長くは続きません。このチャンスを逃してしまうと「手伝って。」と頼んでも、「やだ~よ。」と言われてしまう時期が必ず訪れてしまうのです。
こう言った手作業の際に、親が横で口うるさく「ああしろ、こうしろ、そうじゃない、危ない、だめじゃないの、違う」などと言うと逆効果になってしまいます。モンテッソーリでは、「提示」と言って、まずできるだけ言葉を使わずに子どもに一連の作業を順序立てて、意識して、子どもにわかりやすいようにゆっくりとやって見せます。子どもは、非常な集中力をもって、それを観察し見事にやりとげる力を持っています。
感覚教材(Sensorial)
子どもが、やたら穴に物を突っ込んでみたり、口に入れてみたり、何かを引き出してみたり、ドアを開け閉めしたりという時期がありますよね。親にとっては、頭の痛い時期ですが、これは子どもの「感覚/知覚(Sensorial)」を磨く大切な時期なのです。子どもが、5感で感じたことは、イメージとして脳に伝達され、やがて子どもの抽象思考を発達させることなります。
左の写真は、次男のショーンが、sensorial教材の一つで遊んでいる様子です。最初は大きい筒から小さい筒を積み上げることができないので、すぐに崩れてしまいましたが、何度も何度もやるうちに、御覧のように高く積み上げることができるようになりました。これはショーンが3歳の時の写真です。
Mathematics
この写真は、ショーンが算数の教材で遊んでいる所です。モンテッソーリでは算数は、ただ暗記するものではなく、様々な教材を使って、量や質量として感じることから始まります。
その他、Language, geograpgy, science materials,と様々な分野の教材が教室の棚には、きれいに配置され、子ども達は毎日、その棚から自分の好きなプロジェクトを選び、心ゆくまで取り組みます。
子ども達は、右の写真にように小さなカーペーットを広げ、その上でプロジェクトを行い、終わると全部片付け元の棚にしまい、カーペットも片付けるまでが一連の仕事です。
先日のObservation Day(参観日)の時、クラスの人数を数えると19人いました。一部屋に19人の子がおり、先生が二人、机が5つ配置してあって、それぞれの子どもが、それぞれの自分で選んだ作業に没頭しています。もちろん、2,3人で話し合いながら一緒に同じ作業をしている子もいます。狭い教室で、これだけの子どもが、それぞれの作業をしているのに、そこには不思議な平穏な空気に満ちており、よく一般の日本の幼稚園で見られるような騒々しさは、まったくありません。これは、正にモンテッソ-リの成せる業なのです。
モンテッソーリを通して成長した息子達
次男は、現在モンテッソーリの3年目、日本で言うと年長さんになります。この子は、非常に集中力があり、何でもできるまで癇癪を起こすことなく繰り返すことができます。また、掃除もやらせると、隅から隅まで驚くほど慎重にきれいにしてくれます。正に、モンテッソーリの恩恵を全て受けて成長していると思います。これからが楽しみです。
長男は、やはり3年間を同じモンテッソーリで過ごし、もうすぐ11歳、日本の学年だと6年生になります。モンテッソーリにいる間は、数字を並べることに異常なほどの情熱を傾けていましたが、アルファベットには、ほとんど興味を示さず、私も5歳の時、1度だけアルファベットを教えようとして、癇癪を起こされ完全にさじを投げたことがあります。ところが、1年生に入学した途端、家庭では何もしなかったのに、ほぼ3ヶ月で英語の読み書きをマスターし、今でもReadingとMathは、彼の得意分野です。学校の先生にもよく集中力があると誉めていただきますが、これは正に、幼児期にモンテッソーリで培われたものだと思っています。(癇癪を起こす性格は、今も変わりませんが・・・・)
長男が幼稚園に通い出す頃、モンテッソーリという言葉さえ知らなかった私は、3歳の頃、長男を普通の近所の幼稚園に通わせました。そこでは泣いてばかりで、明らかに不適応を起こし、私も途方に暮れていた頃、偶然にモンテッソーリ幼稚園と出会い、すぐに転園させました。転園させて、たったの2週間で、息子の表情は見違えるように明るくなり、また今まではできないことがあると、すぐに癇癪を起こして泣いていたのに、明らかに集中力が芽生え、最後まで物事をやりとおす姿勢が見られるようになりました。幼稚園一つで子どもはここまで変わるものかと夫婦で驚いたことを昨日のことのように思い出します。
学級崩壊と家庭での幼児教育・・・そしてモンテッソーリ
最後に、もう1度「幼児期には2度チャンスがある」に戻ります。著者は、学級崩壊などの荒れる学校の問題が、子どもの幼児期の歪みを親が見落としてしまったことに原因があると言っています。
SweetHeartでも執筆して頂いた、学校カウンセラーの高橋恵子さんの話しでも以下のようなくだりがあります。『先日小学校で地区の「小中連絡会」(小学校と中学校の情報交換)が行なわれ、今年の小学生の様子を見てきました。・・・「先生が見ていないすきに お友達に椅子を投げつける。」「授業中であれ 気が向けば校庭へ出て行ってしまう。」「先生の言う事を全く聞かない。」・・・・・30人の生徒を一人の担任でみるのは不可能。 報告を任された女の先生は切々と訴えていました。 ・・・その後の分科会では養護の先生からも話を伺いましたが、「今年の1年生はとにかく大変。 今日も授業中 一人は校長室に、一人は保健室に、また一人は廊下に・・というかんじでしたよ。 こういった状況がもっと早く分かっていればーーと、今年は異例の『幼稚園との連絡会』をやったんです。」とのこと。 』
つまり幼児期に身に付けていなければならないことが、きちんと身に付いていないことに皆気づいてはいるのです。幼児期に身に付けていなければならないことって何でしょう?まずは、「キチンと座れること。」「キチンと先生の話しが聞けること。」などが基本的なこととして求められているのでしょうが、言うは易く、行うは難しです。単に家庭で「ちゃんと座りなさい。」「人の話しをちゃんと聞きなさい。」と子どもに連呼しても、なかなか子どもは大人の思ったようには行動しないものです。それでは、どうしたらいいのか・・・。
そのヒントを「幼児期には2度チャンスがある」は教えてくれます。引用『人間は、この時期に(四歳前後)、自立した人間となるために二つの大きな願望をもちます。一つは自分が自身の行動の主人公になること。つまり、自分の意志通りに自分の体を動かせるようになりたい。もう一つは、社会的な意識が芽生えてくるので、社会の中でちゃんと行動したい、というものです。・・・この時期は、「しつけの絶好機」だと言うことができます。外から押し付けた「しつけ」ではなく、その場にふさわしい行動を喜々として学ぼうとする時期なので「正しい振るまい方」を教える絶好のチャンスなのです。』
その「正しい振るまい方」を、モンテッソーリ教育法ならば子どもの内なる『生命の法則』に沿って親が上手に提示することができるのです。
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その他のモンテッソーリ情報
見学にあたってのチェック・ポイント
(カリフォルニアのモンテッソーリ・スクールの校長先生からのアドバイス)
一口にモンテッソーリ・スク-ルといっても学校によってずいぶん違います。実際に、学校訪問をしてみて、教師に話しを聞くだけでなく、一時間ぐらい教室の隅に座って、子ども達や教師の様子お観察することをお薦めします。この間、子ども達と目を合わせることは、できるだけ避けてください。
学校を判断する上での重要なチェック・ポイントは・・・
●どのような躾を行っていますか?例えば、子ども達がケンカをしたり、叩いたりしたとき、教師はどんな対応をしているかで、教師の躾の仕方や方針がわかるでしょう。
●子ども達は、自由に行動していますか?
●教室は、極端に静か過ぎませんか?子ども達が静かにすることを強く要求されていませんか?
●教室が整頓され過ぎていませんか?教室を汚すことを禁じられていませんか?子どもは、いつでも汚すことなど気にせずに、自由に遊べるべきです。汚してしまったら、あとで片付ければいいのです。
●子ども達は、自由に外で遊ぶことを許されていますか?
●先生の人数は8~9人の子どもに対して、一人、もしくは、15~16人の子どもに対し、先生一人とアシスタント一人が適当です。
●一つの宗教に偏っていませんか?教室内にさまざまな人種、文化の子ども達がいる場合、宗教についても考慮がなされているでしょうか?
●教師ではなく、子ども達が何をするか決め手いますか?これは、モンテッソーリの根本である自立心を養うための重要なポイントです。
●知性、体、芸術がバランスよく伸ばされていますか?教室を見まわして、絵や音楽がある環境か確かめます。
我が家の庭でモンテッソーリ ディー/カリフォルニア
4~5年前、友人の幼稚園教師が、モンテッソーリ・スクールを開くスペースを捜していたので、我が家の庭を提供し、教室を建てることにしました。息子も、娘も、2歳9ヶ月の頃から通いはじめました。
モンテッソーリの良い点をあげるときりがありませんが、まず歌やゲーム、手に触れる物を通し、体を使って感情の発達を助けることです。他の幼稚園では、子ども達にグループ作業をさせたりして、社交性を育てようとしていますが、モンテッソーリもスクールによって、かなり異なることは確かです。たとえば、週5日、毎日の通学を原則とするところもあれば、私の所のように、三日でも四日でもよかったり、時間帯の融通が聞いたりするところがあります。
モンテッソーリをこれから選ぼうとする方へのアドバイスは、やはり先生が重要です。その学校の先生の質、方針を良く調べてから判断するべきでしょう。
(SweetHeart・・・このCA在住のディーとの出会いが私のモンテッソーリとの出遭いでもありました。現在、彼女の息子カイルはNY Universityの1年生。NYで芸術を学びたいという自らの意思で初めてCAの親元を離れて勉強しています。去年、10年ぶりに会ったカイルは、将来進むべき道をはっきりと見定めている、しっかりとした青年になっていました。)
モンテッソーリでしていることの一例
長男は3年間モンテッソーリに通い、現在、次男が通い始めて1年目になります。この通算4年間の中で、私が、垣間見た園での様子を紹介します。
●にんじんを切る・・・子どものために小さなナイフ(絶対、指とかが切れないもの)、まな板、皮むき器、ボールが用意してあります。子どもは、まずボールに水を汲む作業から始め、次にニンジンをその中で洗い、皮をむき、ナイフで好きな大きさに切って、切り終わると、他の作業をしている子たちに配ってあるいていました。
●ボタンつけ・・・大きなボタンと針、小さな布とそれを押さえおく刺繍用の止め輪。(今、次男はこれに凝っていて、多分20作目くらいを家に持って帰ってきましたが、針が、かなり一定の所にてい随分上達しました。)
●コルク板に様々な形をした穴あきプラスチックを画鋲で止め、飛行機、人形などの形にしていく。
●大きいビーズにモールを通して首飾りや腕輪を作る。
●さまざまな大陸の地図に国別に色を塗る。(最後に先生が、国の名前を一緒に書きこんでくれる。)
●トレーシングペーパーを使って、アルファベットを写していく。
●動物の名前と、その動物の最初のアルファベット文字合わせ。
●10種類くらいの野菜や果物を切り、切った側面を絵の具につけてハンコウのようにペタペタ模造紙に様々な形を押しつける。
●ミニチュアサイズの恐竜と、恐竜の絵カード合わせ。
●プレイ・ドウ(色付き粘土)の工作道具が非常に充実している。
●その他、ありとあらゆる教材が壁に備え付けてある棚に置いてあり、子どもたちは、朝、登園して来た順に、その中から好きな物を選んで作業にとりかかります。作業に当たっては、教室内の4つの大きなテーブルで椅子に座ってやることもできるし、部屋の隅に10数枚に置いてある玄関マットを広げて、その上でやることもできます。一つの作業が終わったら、必ず自分で全て片付けをします。
●この園には、庭がありませんが、歩いて5分の所に大きな公園があるので、天気の良い日は、毎日1時間くらい自由な外遊びがあります。
●部屋の隅に、フィッシュ・クラッカーと薄めたリンゴジュースが置いてあって、お腹がすくと子ども達は好きなときに、そこに行って、自分で紙コップにジュースを注ぎ、クラッカーをナプキンに取って、食べることが出来ます。
●その他、エクストラ・カリキュラムとして、学期ごとに外から先生を招いてフランス語、スペイン語、音楽、ダンスなどの授業が行われます。
●アメリカでは、5歳になると小学校の準備期間のような感じで、自分の上がる小学校内のキンダーに入る子が多いですが、このモンテッソーリでも、5歳児まで受け入れ、3歳児と一緒のクラスにはいますが、キンダーで教えるべき読み書き、数字も個人的に教えてくれます。この園に子どもを通わせる親にとっては、5歳でモンテッソーリをやめさせて、小学校付属のキンダーに通わせるか、残るかは非常に大きな選択となっています。
by ykane92692 | 2006-09-30 01:32 | Kids